推敲が終われば、もう来年

2回目の推敲が終わりました。

順調です。

前回の推敲は17万文字もあったから大変でしたけれど、今回は11万文字で少な目です。

次に書く小説はペンギンが主人公になる予定なのですけれど、まだストーリーがありません。

いくらか考えたアイデアはあるのですけれど、途中を考えていないのです。

DVDをみたり本を読んだりして間を埋められるようにしてから書きはじめる予定なのですけれど、年明けからは小説ではないプロジェクトに取りかからなければならないかもしれません。

別プロジェクトには半年ほどかかります。

来年はあまり小説を書いていられない年になりそうです。

どうなりますことやら。

ショタ小説の推敲をはじめました

1回目の推敲が終わりました。

昨日までは、本を読んですごしていました。

ノンフィクションと、小説も読みました。

ノンフィクションは、そのうち書くつもりの小説のために読んでおこうと思ったのです。

デイヴィッド・ハンドラー「ゴールデン・パラシュート」を読みました。

これで翻訳されているデイヴィッド・ハンドラー名義の本は制覇しました。

共著の本がまだ残っているはずですけれど、バーガー&ミトリーのシリーズを英語版で追いかけようかと思っています。

キンドルですね。ハードカバーはお高いので。

中村文則「掏摸」も読みました。

中村文則は他の本も読んでみようと思っています。

「すべてがFになる」を書きたい

九乃版「すべてがFになる」を書きたいと何度かブログの記事に書きましたけれど、すこしだけアイデアが思いつきました。

「すべてがFになる」にはふたつの核となるアイデアがあると思うのですけれど、密室にもうひとり人間をいれるアイデアにあたる部分が思いつきました。

脱出部分が真っ白なのですけれど。

もうひとつのアイデアも思いついて小説が書けたとしても、「すべてがFになる」ほどすごい小説にはなりません。

あたりまえですけれど。二番煎じなのですから。

 

そういう小説なのです

文字数16000文字で短編小説第3弾が書き終わりました。

今日は4000文字書きました。

短編小説のシリーズは、解決編のないミステリという趣向で2作書きましたけれど、3作目にして、解決編どころか事件まで小説の中で描かれなくなってしまいました。

読者にとっては、トリックもなにもない小説を読まされることになります。

そういう小説だと思ってお読みいただきたいというのが作者の願いです。

 

事件を解決できない刑事シリーズのつもりです。

第3弾はなんと、被疑者を逮捕します。

はじめての事件解決か?と思わせて幻に終わるというのが、タイトルにあらわれています。

 

さて、つぎはどうしましょう。まだ考えていません。

書けそうな短編小説があったかな。

あるいは12月にする予定の「ショタト・ワタシ」の推敲をはじめてしまうか。

今月はあと4日ですか。

推敲をはじめそうですかね。

 

(ブログ連載小説)幻のドーナツ #9 最終回

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9.幻は幻のままが、夢があっていいのです
 幻のドーナツの行列に大蔵は並んでいる。どうやら、今度こそ念願のドーナツを口にできそうだ。女子高校生でもドーナツひとつにそこまで胸躍らせないだろうというほど、大蔵の胸はワルツを踊り狂っている。
 会計を済ませ、紙袋を受けとる。振り返ると、相坊が歩道の反対側でつまらなそうにまっている。
「よし、行こう」
 いまは相坊の顔が、デートの相手の男子高校生に見えているのだ。
「食べながら行っていい?」
 つい、女子高生の気分で気持ち悪い言い方になってしまった。
 ギャギャギャー
 歩道をかすめるように黒塗りの車が大蔵のすぐ横で急停車した。助手席の窓が降りる。
「大蔵くん、早く乗って」
「え?なんですか?」
 米田さんが助手席から後ろに乗れと手で示している。
「早くしろ。被疑者の居場所がわかった」
「え?例の女性?」
 大蔵は腰をかがめて運転席のサクラさんの劇場用アニメ映画の気合の入った作画のように整った顔立ちを見つめた。
「殺すぞ、早くしろ」
「相坊、行くぞ」
 後部座席のドアを開けて乗り込み、奥にずれる。相坊が乗り込むと、ドアが閉まる前に急発進し、差し出した手をドアに突き刺しそうになった。その場合は指をくじいたことだろう。
 被疑者が以前勤めていたという会社が目の前というところで、歩道を歩いているのを発見。車は急停車。被疑者の女は警察と気づいて走り出す。もちろん、相坊と大蔵の出番だ。若くて元気な相坊が先に降り、追いかけ始めたのだから、先に追いつくのは当然の理であり、大蔵は相坊の背を追いかける。つもりだったのが、相坊の背中が迫ってくる。危うく激突するところで大蔵は身をかわした。運動神経はカラキシだけれど、反射神経には自信がある。相坊は顔面にハンドバッグを投げつけられてダウンしたらしいことが、すれ違いざまに見えた。
「警察だ。逮捕状が出ている。待ちなさい」
 大蔵の係は再捜査のため現場へ戻った。サクラさんが被害者の鏡台の三面鏡を広げたところ、リップで死ねと書かれていた。このリップの色が特殊であり、事件関係者の中で所有していた人物を特定できた。さらに目撃者のおばさんを取り調べたところ、そういえば男の前に女が走って逃げて行ったんだった、凶悪な犯罪だから男とばかり思っていたけれど、女も走っていたのだった、そうそうこんな感じの女性だという。その女性の写真というのが、いま追いかけている被疑者の女性の写った写真だった。
 今度こそと意気込んで逮捕状を請求し、裁判所からおりた逮捕状をもってとうとう確保かというところで、被疑者は勤めを辞め、姿をくらましていたのだった。誤認逮捕なんてして捜査が別の方向にそれてしまっているあいだに逃亡を許してしまったのだ。
 その被疑者がまだ受け取っていなかった給料を受け取りに会社にあらわれたと一報を受けたサクラさんが緊急出動してくれたというわけだったのだ。
 大蔵は女性を追いかけるのが得意ではない。あきらめてお縄についてもらいたいところだけれど、追いついてしまった。被疑者の左腕を捕まえた。被疑者の脚が止まる。
「はあー、逮捕状。見えますね。殺人の容疑で逮捕します」
 手錠を出して被疑者にはめ、自分の右腕にもはめる。時刻を読み上げた。やった。とうとうやった。
 ハンカチで汗を拭いながら車にもどる。自動販売機のそばに駐車してまっていた。冷たい缶コーヒーを米田さんが渡してくれる。
「あ、ごちそうさまです」
「いえいえ、いつもごちそうになっているからねえ、たまにはこのくらい」
 今度は相坊が後部座席の奥に、被疑者、大蔵と車に乗り込んだ。今度は米田さんが運転してくれるらしい。そのほうが安心だ。サクラさんの運転は性格を反映して鋭すぎるきらいがあるのだ。
 窓の外をながめる。今度こそやった。本物の犯人を捕まえた。係長になってはじめての犯人確保だ。これからはバンバン事件を解決して、ワッサワッサと被疑者を確保して、拘置所をいっぱいにしてやる。甘い匂いが車内に充満している。
 相坊と被疑者がドーナツを口にしている。
「ああっ、おれの幻のドーナツ!いや、まあ今日という日は素晴らしい日だからな。ドーナツのひとつやふたつで目くじらを立てるようなことはない」
 被疑者の膝の上の紙袋を取り上げる。おい。
「ちょっと待て。おれはドーナツをよっつ買ったんだぞ?」
「ごちそうさまでした」
 米田さんが顔をこちらにちらと向けた。サクラさんが体をひねって座席のあいだから頭を出している。相坊。被疑者。
「だー、なんで余裕をもって、五個や十個買わなかったんだー。おれのバカー」
 頭を抱えた右手が手錠でつながって邪魔くさい。
「あの、食べかけでも」
 被疑者が最後の一口を頬張ったところだった。
「ふぇ?はめふぇふぃふぁ?」
「いや、なんでもない」
 相坊はとっくに食い終わって涼しい顔をしている。幻のドーナツの恨み。

 署について、取調室に被疑者と大蔵が並んですわり、相坊が向かいのイスにすわっている。ドーナツはドーナツ。逮捕は逮捕。気を取り直して取り調べをしよう。
「相坊、手錠はずしてくれ」
「またですか?鍵ちゃんともってくださいよ。そんなだから今まで事件を解決できなかったんじゃないですか」
「関係ないだろ。でもまあ、これからは使うことが多くなるはずだからな、持ち歩くことにしよう」
 デスクに手をのせて、相坊に手錠を外させる。
「あれ?変だな」
 カチャカチャやっているのに鍵がいっこうに開かない。
「なにやってんだよ、不器用か。貸してみろ」
 鍵をひったくって大蔵が開けようとするけれど、開かない。
「どうなってるんだ。くそっ。あ」
「今度はなんですか」
「今度はってなんだよ。まだ二回目だろ」
「二回目はなんですか」
「これ私物だったわ」
「はあ?私物で手錠なんてもってるんですか?変態さんですね、大蔵さん」
 被疑者がイスをひいてすこし距離をとった。
「そうじゃない。手錠をかける素振りをだな、するときに本物に近いほうが雰囲気が出ると思って、けっこう高いんだぞ?これ」
「どのみちまともではなかった。なんですか手錠の素振りって、銭型警部でもやらないんじゃないですか」
「お前、銭型警部バカにしてんの?妻はおれが素振りしてると汗ふいてくれたり、応援してくれたりするんだぞ?終わってからマッサージしてくれたりするし」
「もう涙が止まりません。なんてできた奥さんなんだ。大蔵さんにはそのくらいできた人じゃないと勤まりませんね」
「おれをバカにしすぎてないか」
「正当な評価です。で、どうするんですか」
「かくなる上は、この手首切り落としてでも」
 被疑者の手をつかみ、映画卒業のように取調室をでると、給湯室に直行、包丁を取り出した。右手を流し台の上にダンとのせ、左手に包丁を振りかぶったところを相坊が取りつく。取調室に向かっていたサクラさんと米田さんが騒ぎを聞きつけてやってきて、大蔵を取り押さえた。
「相坊、装備課行って糸ノコ借りてこい。こんどはわたしが切ってやる」
「ひっ」
 相坊は全力で走り去る。サクラさんは異様に楽しそうな表情だ。

 予想通りというか、なんというか。二度目に確保した被疑者のアリバイは確認され、リップで書かれた脅迫は事件よりずっと以前に書かれたものだということがわかった。被害者は化粧っ気がなかったから、死ねと書かれていることに気づかないうちに殺されたのだろう。
 結局、事件は継続捜査となっている。
 最初に誤認逮捕された元被疑者の男性は、パソコン教室時代の同僚が起こしたベンチャー企業に技術部長として招かれ、給料が出るまでの生活は生活保護を受けられることになった。ベンチャー企業の社長がスーツ姿にビジネスバッグで付き添ってくれたら受付係の態度がちがったらしい。近々、元被疑者には大蔵の妻のマンガ描きの環境更新の相談にのってもらうことになっている。
 ついでに言うと、幻のドーナツは閉店してしまった。大蔵は食べられず仕舞いだった。相坊は、あそこのドーナツおいしかったのに残念ですねと感想を述べた。

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(ブログ連載小説)幻のドーナツ #8

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8.そんなことじゃないかと思ってたでしょ?
 朝食のあと、相坊が門のところまで車で迎えにきて、警察署へ出勤だ。車内では、パソコン教室の裏付けと、被疑者宅のカレンダーで予定をチェックし、アリバイの確認もするように指示した。
「おはようございます」
「よ、御両人」
 サクラさんまで妻の病気がうつったかと思うようなことを言う。
「サクラさん、今日は相坊と組んで外回りお願いします。指示は相坊に出しておきました」
「大蔵さんじゃないんですか」
「おれは取調室で留守番してる」
 右手をあげて手錠を示す。
「そういえば、装備課の人はまだ糸ノコもってきてくれてないか?」
「それじゃないですか」
 相坊が大蔵のデスクをアゴで示す。デスクの上にホームセンターの袋がのっている。中身を取り出すと、糸ノコだった。
「おお。それじゃ、相坊って」
 サクラさんに連行されていくところだった。せっかちなんだ、サクラさんは。
「米田さん、お願いできます?」
「まあ、お茶でも飲んだら?」
 ニッコリして、米田さんはお茶をすする。

 被疑者と並んで取調室でお茶をすする。向かい側に米田さんがいると、自分が取り調べを受けているような気分になってくる。
「そろそろやってみる?」
 ちょっと楽しそうに米田さんが身をのりだしてくる。手が糸ノコに伸びて、ハンドル部分をつかむ。顔の横にかかげる。怖い。
「え、えーと。米田さん糸ノコって使ったことあるんですか?」
「あるよ」
 それだけ?もっと、なにか付け加えることは?心配だ。
「日曜大工が趣味とか」
「中学のときかな、技術・家庭科っていう科目があってねえ。いまでもあるのかねえ。授業で糸ノコを使う実習があったんだよねえ。けっこう指切っちゃったりする不器用な人がいるんだよねえ」
「米田さんは大丈夫だったんですよね」
「ぼく?ぼくはどうだったかなあ」
 指を調べている。そんな最近のことじゃないですよね。
「指を切ったのはぼくじゃないと思うけど、もう昔のことだからねえ。よく覚えてないかなあ」
「使い方は?」
「大丈夫、普通のノコギリを一緒だよ」
 大蔵の手首の手錠をデスクに押さえつける。
「え、え、ちょ、待ってください、待ってください」
「どうかした?」
「いや、手錠の内側から外側に向かって切ってもらっていいですか」
「ちょっとメンドウだね。刃を外さないといけない」
「どうかお願いします」
 米田さんを拝み倒して糸ノコの刃を手錠に通してもらった。ふう。手錠の蝶番のすこし手前を切り離すことにして、やっと普段の慎重さというか、やる気のなさというか、そんなものを発揮してノンビリ糸ノコを引きはじめる。シューコシューコと糸ノコが上下に移動し、刃がこすった横にアルミの粉が積もる。シューコシューコ。催眠術にかかるような気分になって、眠くなってと思ったら、さきに米田さんの頭が倒れかかってきた。
「米田さん。お願いします。眠らないで、最後まで手錠を切ってください」
「ああ、そう。そうだったね。うん、まかせておけば大丈夫だ。こうね、糸ノコを引いていると、このリズムがだんだん心地よくなってきてねえ。なんだか意識が」
「米田さん」
「ん?遠くなってくるんだねえ」
 あと少しがなかなか切れなくてじれったい。ふっと息を吹きかけてアルミの粉を飛ばす。いよいよだ。最後はスパッと切れて、糸ノコのフレームが大蔵の腕に軽くぶつかった。
「おお!やった」
 手錠を手首から完全に離して、手首をこする。手錠で絞められていたあとがついている。
 あの、忘れてない?といわれて、我に返り、大蔵は米田さんからバトンタッチで糸ノコをあずかり、同じように手錠の内側から切り離しにかかる。
「こんな感じですか?」
「うん、あまり押しつけると刃がダメになるから、ちょっとこするくらいの加減で、何回も何回も引くんだねえ。あせったらダメだよ」
 アドバイスになるほどと納得して、シューコシューコ。気が遠くなりながらも手錠を切り離した。大蔵と被疑者はお互いに固い握手を交わした。
「いやー、ヒドイ目にあった」
「でも、疑いが晴れたわけじゃないよ」
「でも、調べてくれてるんだろ?大丈夫。疑いは晴れるよ」
 バン
 取調室のドアが開いて、コツコツ、サクラさんが相坊を引き連れてはいってくる。狭い取調室に五人もいて、圧迫感が尋常ではない。
「パソコン教室に行って、被疑者が被害者の講師をしていたことがわかった。被害者はたびたび自分のノートパソコンを持ち込んで熱心に質問していたらしいことも。ちょっとずうずうしいことで有名だったらしい。それから、カレンダーにはハローワークの受給説明会と書いてあった。ハローワークにまわって聞いたところ、事件当時は受給説明会の真っ最中。被疑者が出席していたことは、顔写真で確認したから間違いないそうだ。気が抜けるほどあっさりシロだとわかったぞ」
「がーん」
 大蔵は頭を抱え込んだ。やっと被疑者確保までたどり着いたと思ったのに、誤認逮捕だったのだ。
「申し訳ありません。誤認逮捕でした」
 大蔵は元被疑者に深々と頭をさげた。米田さん、サクラさんも大蔵にならって頭をさげている。相坊は出遅れて、あわてて頭をさげる。
「やだな、逮捕してないことにしたじゃないですか。いいんですよ、いろいろよくしてもらったし」
「では、自宅まで送ります」
「うん、よろしく、大蔵さん」

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マンガ家という設定がよくなかったのでしょうか

文字数12000文字で今日は6000文字書きました。

明日に書き終わりそうです。

いまの「幻のドーナツ」はミステリのネタがないので、短く終わります。

 

大蔵の奥さんが登場しました。

もっと魅力的に書く予定だったのですが、頭の中で想像していたような女性ではなかったようです。