(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #8 (最終回)

目次へ 8.歌詞を書くのは苦手なのです。許してあげて「おれの作詞のセンス、知ってるだろ?」 笑い声が起きる。友人の間では有名なのかもしれない。取り調べでも、ロックにならないからギターの子に直してもらうと話していた。大蔵は歌詞なんかどうでもい…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #7

目次へ 7.コピーバンドは有利ですよね 高校生にしては渋く、プログレのコピーバンドが演奏を開始した。なかなかよい。 コピーバンドは、曲の面で有利だ。いい曲はより取り見取りだし、大勢が曲を知ってくれている。あとは演奏を磨くだけだ。大蔵でも知って…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #6

目次へ 6.文化祭が青春なんて人がいるんですか?アニメですか? 大蔵は高校生時代、勉強にしか興味がなかった。文化祭になにをしたかという記憶も定かではない。三年間で一度しかないのだから、記憶に残らなくても仕方ない。たぶん自習室で勉強していたの…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #5

目次へ 5.都合よくギターが弾けたみたい 大蔵はギターケースを慎重に壁にもたせかける。相坊はテーブルについて店の様子やショーウィンドウをキョロキョロと見回している。大蔵もイスに腰かける。「先注文してきていいぞ」「え、聞きにきてくれないんです…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #4

目次へ 4.最近食べていません「米田さん、やっぱり見た瞬間わかりました?」「そりゃ、たくさん見てきたからね」「あんな青っぽくなるんですね」「酸素がないからだねえ。臓器にもみんな血管が走って血液を供給してるんだねえ。静脈は酸素が少ないから、ほ…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #3

目次へ 3.バンドマンってカッコいいですよね 部屋のドアはわれわれを拒絶するように固く閉ざされている。例の金属同士がガッチリ噛みあってミッチリ閉まるドアだ。ドアノブもガッシリした金属製でハンドル部分にゴムがついている。 手をノブに刺す。 いや…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #2

目次へ 2.ここからはじまるんですか? 大蔵が車を降りると、なにか喚き声がしている。なんだなんだ?声を聞きながら門をとおった玄関前でモメている。「中に入れてよ、わたし彼女なの、付き合ってたの」「被害者のご遺体は搬送済みです」 高校生くらいの女…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない #1

目次へ 1.事件が発生して唐突に物語ははじまるんじゃないんですか夏の終わりひとり目覚めソファから見下ろす凍った死顔息ができない苦しくないか?音楽が聞こえないいまどこにいる?あいすクリームは溶けないドライアイスがあるからさ冷たい朝冷たい手で弾…

(ブログ連載小説)あいすクリームは溶けない 目次

連載完了です。全8話です。 1.事件が発生して唐突に物語ははじまるんじゃないんですか 2.ここからはじまるんですか? 3.バンドマンってカッコいいですよね 4.最近食べていません 5.都合よくギターが弾けたみたい 6.文化祭が青春なんて人がいるん…