(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #12 最終回

目次へ 12.記録更新、すごいものです「ほんとうに現場百遍なんですね」「そうだね、毎日繰り返されることとか、定期的に繰り返されることとか、とにかくそういうことを狙うっていう意味もあるんです」「なるほど。繰り返すほどに意識から消えてしまうこと…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #11

目次へ 11.どこから弾が飛んでくるのでしょう「相坊、どうだ。弾はどこで発射されたかわかったか?」「それがまったく」「なにも進展がないのに、アルバムなんか見てくつろいでたのか」 おかげでヘンなことが気になって気持ち悪いじゃないか。「くつろい…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #10

目次へ 10.いちごの食べ方って、一生かわらないものです アルバムをさらに進むと、メイドの女の子が一緒に写るようになった。やっぱり誕生日に撮ったらしい写真があらわれた。被害者の女の子はやっぱり先にいちごを食べている。メイドの子はまだだ。 あれ…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #9

目次へ 9.現場にばかり入り浸っているわけでもありません デスクでパソコンに向かって報告書を頭から絞り出しているとなりで、相坊が暇そうになにか本を眺めている。メロンパンでも買いに行かせてやろうか。「なにを見てるんだ?」「アルバムです。被害者…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #8

目次へ 8.その箱はスリーディー・プリンタ 実ははじめて現場の部屋にはいったとき、一番に目についたのがこれだった。なにか建築現場のスケルトン模型みたいな、得体のしれない箱だ。被害者が使っていた机は、通常の学習机をふたつ並べたサイズだった。勉…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #7

目次へ 7.シュワシュワ炭酸はじけて爽快 家庭で簡単に炭酸飲料が作れるなんて時代になっていた。大蔵が小学生の頃は、ラムネがシュワシュワして水に溶けると、なんだか得体のしれない飲み物が出来上がるという程度であった。 目の前のノッポな機械をつかう…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #6

目次へ 6.氷にはこだわります メイドの女の子は、メイド服に着替えてきて、キッチンに案内してくれた。家庭の台所と言うより、レストランの厨房の雰囲気だ。 台にヤカンを置く。ヤカンは喫茶店で使っている縦に長いものだ。それに、ペットボトルの水を冷蔵…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #5

目次へ 5.現場百遍?そんなにやってこられても困ってしまいます 大蔵は窓を背にすわっている。テーブルの向こうでドアが開け放たれ、廊下の窓が見える。お尻をずらして、ズッコケたような格好になってみる。うん、こんなものか。 イスにすわった状態で胸を…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #4

目次へ 4.警察ってタイヘンみたいですね 女の子は急に顔を下向けて黙ってしまった。 おやおや、女の子が顔を赤らめてしまうような魅力を発散してしまったかな? と、うしろに気配。「おい、話は聞けたか?」 鳥肌が立つ。頬が触れあうほどに近く、サクラさ…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #3

目次へ 3.これはかわりすぎた事件ですと言われた そんなことを言ったのだけれど、やっと暖かいところにきたと思ったら、小学生の女の子と向かい合わせですわらされてしまった。どうやら、大蔵の取り調べ相手はこの女の子らしい。「えっと、大蔵です。よろ…

(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #2

目次へ 2.主役は遅れて登場することも決まっているようです ドアを開けて車を降りると、冷たい風が吹きつけて、大蔵は身をちぢこませる。車は門を通って、車寄せに駐車してある緊急車両のうしろにつけてある。「寒いな、早く中にはいろう」「コート着てく…

目次 (ブログ連載小説)いちごショート、倒れる

12話完結済です。よろしくお願いします。 1.事件が発生して唐突に物語ははじまるもののようです 2.主役は遅れて登場することも決まっているようです 3.これはかわりすぎた事件ですと言われた 4.警察ってタイヘンみたいですね 5.現場百遍?そんなに…

(ブログ連載小説) いちごショート、倒れる #1

目次へ 1.事件が発生して唐突に物語ははじまるもののようです テーブルまであと一歩というところで、わたしはつまづきます。すると、 上半身は進み続けようとするし、足は急停止するしで、腕は伸びて、銀盆を前にうやうやしく差し出します。 アイスティー…