(ブログ連載小説)いちごショート、倒れる #11

目次へ

11.どこから弾が飛んでくるのでしょう
「相坊、どうだ。弾はどこで発射されたかわかったか?」
「それがまったく」
「なにも進展がないのに、アルバムなんか見てくつろいでたのか」
 おかげでヘンなことが気になって気持ち悪いじゃないか。
「くつろいでませんよ。写真の中に拳銃でも写りこんでないかと調べてたんです」
「とっさにうまい言い訳思いついただろ」
「たしかにわれながらうまいと思いました」
「お前ね、近所の聞き込みにいかせるぞ」
「嫌ですよ、こんな寒い日に」
「だったら、すこしは仕事しろ」
「ムチャですよ。だって、ぜんぜんわかんないんですもん」
「たしかに、おれも被害者が撃たれたというイスにすわってみたけど、家の外からは狙えない感じだった」
「そうですよ。撃たれてからすわらされたとしか思えません」
「でも、あの部屋から出てないんだろう。窓はハメ殺しだし、イスじゃなくてもどこにいても、撃てないだろ」
「あの部屋から拳銃出てないんですよ」
「それは知ってる」
 やっぱり室内から撃ったと考えるしかないのか。
「線条痕は?」
「登録されてませんよ。警察か自衛隊くらいですからね、この国で合法的に拳銃もてるのなんて」
「そうだよな」
 拳銃が出てないんだから、拳銃じゃないのかもしれないな。
「どういうことです?」
 考えを口に出していたようだ。
「ほかの道具を使って弾を撃ったということだよ」
「やっぱり、ふたりのメイドのどちらかですかね」
「うん?そうか」
「ふたりとも硝煙反応がでないから、容疑からはずれてますけど、拳銃を使っていないとなると、容疑がかかってくるじゃないですか」
「ひとりは小学生だぞ」
 とても小学生とは思えない一面もあるけれど。
「小学生だって拳銃で遊んでて、あやまって兄弟を撃ち殺しちゃったなんていうニュースがたまにあるじゃないですか」
「外国の話だろ。たぶんアメリカ」
「なにか、弾を撃てそうなどうぐなかったですかね、あの部屋に」
 今日見た中では、ビービー弾しか撃てないオモチャの銃くらいか。心臓を貫くほどの威力では、プラスチックは破壊されてしまうだろう。なんだろう、強度があるもの。もしかしたら、簡単に処分できてしまうもの。それに、火薬以外に爆発的に力を弾に伝えるものって。
「ダメだ。思いつかない」
「ほらー」
「ほらってなんだよ。一緒に考えてやってたじゃないか」
「おれには無理ってことですよ」
「そんなこと言ってると、交番勤務にもどされるぞ」
「げっ、大蔵さんに道づれにされたくありませんよ」
「人聞きのわるいこと言うな」
 気持ちはわからないではない。

目次へ