小説に対する考え方、もろもろ

 いろいろブログに書いてきました。今回は小説を中心に据えて考えます。すでに書いたことを繰り返す部分もありますけれど、おつきあいください。

商品である

 小説は商品です。売っておカネをもうけます。小説家にとっても商品ですし、出版社にとっても、書店にとっても商品です。
 素人にとっては、試作品でしょうか。おカネを生むにいたっていません。ですが、同じようなものです。

新製品から次の新製品を生む

 工業製品の話ですけれど、新製品を開発設計したら、それを土台にして次の新製品を開発設計しろと言われています。そうしないと、ほかの会社が開発してしまうのですね、次に開発すべきであった新製品を。土台にする製品の方が開発費はかかったはずなのに。その先の新製品をかっさらわれるわけですから、大損失です。
 小説の場合も、ひとつ小説を書けば、つぎのアイデアが湧きます。こういう小説があるべきだというものです。他人がそのあるべき小説を書いてしまうということはあるかどうか知りませんけれど。あたらしい発想は不要で、連想でいいのです。せっかくネタが簡単に思いつくのに、小説にしないのはもったいないですね。

イノベーションが必要?

 イノベーションというのは新しいものを開発することです。ひとつ前の話で言うと、最初の新製品をつくるということですね。既存のなにも土台にしない。
 とはいえ、あたらしい技術を開発する必要はないのですね。たいていのイノベーションは古い技術というか、すでに利用可能になっている技術を使っています。使いどころをかえるとか、組み合わせるとかいうことです。アイデア勝負でイノベーションが起こせるのですね。
 小説の場合も同じでしょう。ベストセラーの作り方として、映画「キミの名は」について以前考えました。あれですね。
 イノベーションというのは新しいジャンルを作ってしまうような強力な新規性のある小説を書くことにあたると捉えることもできます。
 他の人がマネして同じような小説を書くのはカイゼン、展開を横取りしているようなものかな。転生ものとか、タイムリープとか、天使や死神やなんかが出てくるのとか。できれば避けたいですよね、こういうことはしたくありません。ネタが思いついてしまえば仕方ありませんけれど。

プログラムの作成と似ている

 以前書きました。小説を書くのはプログラムを作るのと似ていると思っています。わたくしの方法論のようなものです。繰り返しですけれど、また書きます。

仕様、設計、実装、テスト、デバッグ

 仕様を決めるのは、テーマを決めるとか、どういう小説かを決めること。ニーズに従って決める必要があります。この部分、うまくいっているとは思えません。作者や編集者が勘でやっている。素人と変わらない。次の項でもうすこし詳しく話しましょう。
 設計はプロット。大枠を決めるだけの場合もあるし、細かく決める場合もあります。各パートにどのような機能をもたせるかを決めます。
 実装は本文を書くこと。プロットで決めた機能を実現する文章を実際に書きます。
 テストは推敲、校正、デバッグはゲラチェック?よく知りません。

マーケティング・リサーチ

 社会、経済、人口、技術は企業の業績に長期的に、関わってきます。こういったものの変化は、脅威であり、機会であるといわれます。変化を早く察知し、準備すれば、変化の影響が大きく表れたときに他社を出し抜けるのですね。準備していなければ他社に刺される。
 経営者にとって大切な情報です。変化に対応するよう経営判断を下すのが経営者ですから。
 あわせてよく言われるのは、お客さんが商品を買うところ、使うところを観察しろってことです。マーケティングリサーチの一種でしょう。イノベーションのタネが転がっていたりします。
 小説で考えると、書店をうろつくとか、アマゾンのサイトを見て回るとか、人の家に忍び込んで読書しているところをのぞいたら通報されますから、喫茶店で本を読んでいる人とか、電車で本を読んでいる人を観察することでしょうか。どんなことが発見できるでしょうね。
 ノン・カスタマーというのもあります。お客さんじゃない、うちの商品を買っていない人のことです。なぜ買わないのか、買わずにどうしているのか。
 これもイノベーションのタネを発見したいということでしょうね。
 小説を読まない人が、なぜ読まないのか、読まずに何をしているのか、答えがわかったら、その対策を考えることができます。考えて答えが出たら、きっと売れる小説が書けるでしょう。
 対策が思いつかないことが多いと思います。世の中そんなに甘くないですね。

編集者

 出版社はマーケティング部門であるべきだし、編集者はマーケターであるべきではないかと書いたことがあります。本を売るのですから、本の市場を調査することはマーケターの最重要の使命と言ってよいでしょう。マーケティング・リサーチ。
 やっていそうにないですね。勘を頼りに、あるいは自分の好みで、小説家に注文を出していそうです。
 売れる小説をつくらなければ、売れません。当り前のことを書いていますね。文章にするとアホらしい。売れる小説をつくろうとしていますかね。
 売れる小説がわかれば誰も苦労しませんけれど、予測し、結果を精査し、リトライするってこともしていなさそうです。ほかの業界ではやっていることではありませんか。やるべきことをやっていない。出版業が衰退するのも当り前ですね。

出版業界

 出版業界は、すでに衰退期にはいっていると認識しています。先細りです。複数の要因が重なっています。本はどんどん売れなくなるし、出版点数も減ってゆきますし、出版社は消えてゆくでしょう。
 世の趨勢ででもあります。社会、経済、人口、技術の変化を考えても明らかです。
 変化に対して出版社が対応しようとしているように見えません。むしろダメなことをつづけているのだと思います、出版をとりまくものどもは。出版業界は着実に衰退を進めることでしょう。小説を書く人間にとっては残念なことです。

市場

 独占、寡占、完全競争と市場の種類があります。経済学の用語です。
 出版業界はどうでしょうね。誰がどのくらい売れているのかわかりません。もしかしたら寡占市場なのかもしれません。どの市場かによって戦略は変わると思いますけれど、

 経済学は商品の価値を無視しますから、出版業界に適用することは意味がなさそうです。価格と量だけの話です。一応現状把握に資するかもしれませんので覚書程度に書いておきました。

競争相手

 小説を読まない理由について、考えてみましょう。小説の競争相手、代替品というものの視点で。
 小説はエンターテインメントです。暇つぶしです。代替品はいろいろありそうです。テレビも衰退していますけれど、代替品のひとつですね。ゲームももちろんそうです。ラインなんかのコミュニケーションツールですね、ツイッターもそうです。わたくしもやっております。動画も見るでしょうし、検索でいろんなことを調べてサイトを見にゆきますね、ショッピングもします。小説を読んでつぶす暇がありません。

 変化ということで言うと、スマホの普及が大きそうです。テレビ、ゲームは以前からありました。むしろ、小説と同じようにスマホに押されているでしょう。

仕事と貧困

 仕事や勉強も、小説を読む時間を奪ってゆきます。貧困は小説を買う金を奪います。貧乏暇なしで、時間も奪います。

対策

 さて、対策は思いつきますか?やはりスマホで小説を読んでもらうのがよいのではないかと思いますけれど、九乃としては。スマホに特化した小説ですね、以前書きました。紙の本を読むのと変わらないようでは、戦えません。
 それから、少子化、貧困化の対策を政府に要求するとかですね。自民党少子化、貧困化を進める政策を行っています。そういう目標をもった政党ですから、根本的には政権交代が必要なのでしょう。

気持ちをくじいたら終わり

 業界を救ってくれるとしたら、未来の小説家です。現在の小説家が、衰退する業界になにも手を打てていないのですから、優秀な人材をつれてきて、なんとかしてもらうしかありません。未来の小説家に期待。
 小説家がつらいよ、苦しいよ、儲からないよ発言するのは、自分の首を絞める行為ですね。優秀な人が業界にはいってこなくなります。そんな発言をする人は善良かもしれませんけれど。善良が最善とは限りません。善良というのは、たいてい無知であったり、考えが足りなかったりします。
 人にそんなことを忠告することではありません、必要なのは。どうしたら儲けられるか、あるいは儲けられないながらもうまくやっていくか、考え、提案し、見本を示すことでしょう。やろうとしてもできないかもしれませんけれど。やろうともしないのは、控えめに言って、怠惰です。
 すでに無能なのだとわかっているのですから、結局言っちゃったよ、詐欺師になって、夢を語ってはどうでしょう。小説家のよいところを。つらくて、苦しくて、儲からないけれど、廃業せずに頑張っているわけでしょう、小説家は。おれにはできるけれど、お前らには無理だとでも思っているのですかね。
 好意的に考えれば、今はマシだけれど、今後は無理と考えているのでしょう。判断するのは本人です。結論ではなく、判断の材料だけを提供するべきですね。

 すでに小説家という立場にいるのですから、小説家という商売を存続させることに、それなりの責任もあるのではないかと思いますけれど。

素人から見て

 就職して、一人前になるまで時間がかかります。新人は社内で教育を受けます。いまの企業は余裕がありませんから、教育していないようですけれど。
 企業から見れば投資です、人材の採用と社内教育。小説家を個人事業主と見るのでした。企業にはいっていませんから、素人は自分で自分を教育し、自分に投資しなければなりません。
 試作品をつくるのでした。一人前になるまで試作品をつくりつづけなければなりません。
 このような見方というか自覚がないと、先が見えず将来を悲観しそうです。

成果を評価

 素人にはむづかしいですね。プロなら販売部数で評価できるでしょう。
 カクヨムとかでPVを評価基準にできそうですけれど、どちらかというとマーケティングの成果と捉えた方がよさそうです。読めば評価される作品であっても、見つけてもらわなければ存在しないと同じです。

賞はコンペ

 賞に応募することは、その出版社と取引をはじめたいと手をあげること。コンペです。コンペに勝てば仕事がもらえます。取引が続くこともあれば、打ち切られることもあります。別の取引先を開拓できることもあるし、できないこともあります。

おしまい

 まとまりなく、いろいろ書いてきました。小説を中心に、取り巻くことどもを書いてきたつもりです。認識、理解のお役に立てたらよいのですけれど。判断はその先です。