ショートストーリー「舌に残る感触」をカクヨムに投稿しました

 連作短編らしき「『また会いに来たよ』」に番外編として追加しました。

 こちらですね。

 はじめに、舌になにかが触れるというネタを思いつきました。で、二番目のブロック最初の一文を書きました。

奇妙な感触を舌に感じるようになった。

  それから、最初の一文。なぜでしょうねえ。なにか感じる方を幽霊に設定しています。作者は頭がおかしいのでしょう。

彼氏が一昨日死んだ。 

 最後の一文を書きました。

おかしいね、僕は一昨日死んだっていうのに。

  本文最初の一文を書いたあと、二番目のブロック最初の文に二日前を追加しました。

 

 上の3行の中間を埋めたのが完成形です。先に二番目のブロックをすらすら書き、一番目のブロックを考えながら書きました。

 恋愛のシーンは、どの小説も同じっていうのでは面白くないものですからね。何度も繰り返し書かないといけないのに。大変です。みなさん苦労しないのですかね。
 恋愛がからまない小説ばかり書いていられればよいのですけれど。ポピュラーなエンタメですから、避け続けることはむづかしいでしょう。

 九乃のつもりでは、一番目のブロックの女の子の彼氏が二番目のブロックの男です。でも、簡単にバラしたらつまらないから、最後までひっぱりました。ふたりの関係を明確にしていませんから、無関係としても読めますね。
 幽霊が椅子に体重かけたり、おやつ食ったりするのかってツッコミはありですね。じゃあ、しないのかって反論もありだと思いますけれど。幽霊のこと知っている人なんていないのですから、どうでもよいことです。
 それに、幽霊だと思わせたくないという事情ですね。前のブロックとどうつながるのかなって思わせておくという。狙い。
 二日前と書いてあるから、一番目のブロックに出てくる死んだ彼氏かなと思う。けれど、どうも生きているっぽい。すると、生きている頃の話、過去なのかと思う。そうなると、二日前の意味がなくなる。そんな、うやむやな感じ。

 幽霊が感じる舌の感触は、彼女の失われた半分、みたいなつもりです。幽霊が人間に干渉する話は多いと思いますけれど、今回は人間の思いが幽霊に干渉します。霊能者でもないのですけれど。そう考えると、怖い女ですね。怨念の塊みたいな。心根はサッパリしていそうですけれど。彼氏が死んで三日であんな感じですからね。それとも、まだ落ち着いて悲しみを受け止められていない段階なのかもしれませんね。
 一番目のブロックは、舌が幽霊彼氏に会いに行くことを読者に納得させるように書いたつもり。キスのプロみたいな。それから自分の体が半分失われたってところですね。そのふたつを書くための一番目のブロックでした。

 ミニ怪談は、九乃も即興で書きました。書く流れになったから、書きながら考えたのですね。そういう言い方をすると、この小説全体が即興みたいなものですけれど。書きはじめるまえにあったのは、三行のアイデアだけでしたから。

 ふたりは会ってはいないとも言えるのですけれど、舌が幽霊に会ったみたいなつもりで、「また会いに来たよ」のくくりにしました。ホラーのほうですね。恋愛とホラーと両方の要素がはいっているかな。ほかの話と毛色が違いますから、番外編です。