14000文字の短編「失恋の対角線」の連載を完結させました

 4回にわけて投稿しましたからね、4日で完結です。「失恋の対角線」が完結しましたよ。

 はじまりましたで書かなかったことも、完結してしまえばなんでも書ける。本作を書くことにしたキッカケは前回書きました。坂井令和(れいな)さんとのやりとりでした。

 「きのう失恋した」テーマで書くことにして、すぐにメモを書きました。

未来から過去を振り返っていることにするか。
なにかに打ち込んでいたことを懐かしむ。
本番でうまくいかなかった。
で、回想。
失恋したんだよっていう。
それちがうぞって親友が言って謎解きの回想。
主人公、そんなって言って。
オチは?相手の女の子の現在だろうね。 

  失恋を勘違いってことにする。未来から失恋を見るというアイデアでした。ありがち? ハッピーエンドになる可能性もありましたね。

人生をかけたことはうまくいかなかったけれど、恋はうまくいくとか。
うまくいくところを書くかわりに、
本番のあと、女の子がやってくる。ふたりになれるチャンスをうかがっていたんだね。
どうしたの、今日一番大事なときだったのに、いつもの君じゃなかったね。
緊張した?
ちがう。
昨日眠れなかったとか。
まあな。
やっぱり緊張してたんじゃ。だから眠れ
ちがうっつってんだろ。
じゃあどうしたっていうの。
失恋したんだよ。それだけ。
それだけって、なんでこんなタイミングで。
告白したわけじゃねえよ。彼氏がいることがわかっただけ。
分っちゃったんだから仕方ないだろ。
おれにはどうにもできない。 

 これは回想の部分。思いついたらとりあえず書くことにしています。まだどういう流れにするかは決まっていなかったと思います。この段階で第4話を書いたのだったかな。最初に第4話を書きました。

 第4話を書いている段階で骨組みができてきまして、失恋する高三時代のことを考えはじめます。主人公がなにかに打ち込んでいたことにすることは決まっていますけれど、具体的になにに打ち込んでいたかは決まっていません。ロケットづくりが優勢でした。

耳をすませば」みたいにファンタジーの場面をぶっこんだりして。
水泳の話にしたから、人魚が出てくるとか。
梅雨から書くかな。
梅雨があけて暑くて明るくてって感じで。
とうとう本番、主人公の人生がかかっている。
で、時間を飛ばす。
うまくいかなかったっぽい。またファンタジー
で、親友がなんであのときって話をする。ほとぼりが冷めたんだね。
偶然、前日(当日でもオッケー)好きな子が告白されてオッケーしたとか、
彼氏と一緒のところ見たとか。
失恋したんだよ。
お前。
とかいって。
親友が謎解き。
それ失恋じゃねえよって。

  この部分、水泳の話にしたとありますけれど、これはあとから追記しました。ファンタジーをぶっこむことを決め、いくつかの候補の中でファンタジーのネタが思いついたのが水泳だったのですね。水泳から人魚って思いつきやすい。普通すぎてつまらないかもしれませんけれど。第4話を書きながら考えをまとめました。

 この時点でもまだ失恋じゃなかったことにするアイデアがのこっていますけれど、ファンタジーを突っ込むことにしたころには謎解きとかハッピーエンドとかのアイデアは捨てていました。古いメモが残っていただけです。第4話を書き終えます。

 メモで書き出しのことを考えはじめていることがわかります。1行目が梅雨の話題でした。たぶん、第4話を書いたあと、1行目から書きはじめたのだったと思います。

 女の子の後輩。
テイに懐いている。
最後の練習日の前日。
後輩が彼氏と待ち合わせして帰るところをに出くわす。
お前ら付き合ってたんだ。
雨の日の筋トレ一緒にやってたら。
もったいない。
恋愛パワーを人生の糧としないでどうする。
恋愛だって燃え上がるだろう。
帰ってゆくふたり。
リンが登場する。
リンと付き合っている場面を後輩たちの後ろ姿に重ね合わせて
妄想に耽る。
どうしたのぼおっとして。
いや、なんでもない。
この場面をリンは失恋と勘違いするように書く。
明日は大会前日、最後の練習だ。

  書いている途中で先の方のネタが思いつくことがあります。メモに残しておきます。かなり具体的なメモですね。第3話の部分です。ここで妄想が出てきますから、ファンタジーぶっ込めるかなとあたりをつけました。

 第3話のファンタジーは、よいアイデアが思いつかなくて、しょぼいかなと思いましたけれど、完成品のようになりました。考えながら書きましたからメモがありません。

 全体としては、主人公がガラスの心臓の持ち主で、異性を意識しはじめ、告白を決意し、ちょっとしたことでくじけ、そのまま三年経って、でも、うまく彼女をつくれるほど成長していたというお話でした。

 裏を読んでケンとリンの話も考えるためのヒントを多く書きました。花火大会での言動があやしいですね。第3話で帰り際にリンがやってくるのもケンがからんでいます。かわいい後輩のチコが彼氏と一緒にいるところに出くわしたテイを目撃しています。のちにテイが失恋したと言っただけで引きさがっています。

 リンもテイと同じような人間だったのでしょうね。テイはチコが好きだったけど、チコに彼氏ができて失恋した。そういう誤解が生じた。

 で、三年経って本当のところを知る。このときもケンが裏で動いているっぽい。ケンはリンから相談をうけていたのかもしれません。

 そうそう、タイトルの対角線というのは、この辺のことにひっかけています。テイはリンと佐竹のことを誤解し、リンはテイとチコのことを誤解したというところです。

 ラストでテイに彼女ができていることがわかります。異性を好きになることを知りましたから、大学に行ってあたらしい人間関係ができ、出会いもあったということですね。リンのことはちょっとチクっと痛みますけれど、あまりダメージを受けません。

 もう大人ですね。