島田荘司に会った話。

島田荘司に会ったのです

 一度、島田荘司とお話しする機会がありました。一対一ではありません。十人くらいで島田荘司をかこんでおしゃべりしたのです。
 昔の著者近影から想像していたような島田荘司ではないですね、実物は。もっと、高くて硬い声で、神経質に話す人かと思いましたけれど、やわらかい声でほんわか話す人でした。
 こんなこと書いてイメージを壊したら営業妨害でしょうか。わたくしの勝手な印象ですからね。

なにを話した?

 アメリカの歯医者の話を根掘り葉掘り聞きました。なにをしていたのでしょう、わたくし。いえ、興味深かったのですけれど。

小説の話は?

 しません。だって、当時書いていませんもん、小説。そんな予定なかったのですね。若かった。

 周りの人は、せっかくの時間をなにに使ってくれるんじゃい、歯医者なんてどうでもええわいと、怒り心頭だったかもしれませんね。

名刺をもらえばよかった。

 島田荘司が名刺をあげますよといってくれたのです、そのときいた十人くらいの人に。小説書いたら見てあげますよなんて。もう、神ですね。本格ミステリ界のゴッドはちがいますよ、人間の器が。ゴッドなのに人間の器とはこれいかに。
 で、もらわなかったのです。小説書くことになるなんて思ってなかったのですから。わたくしがもらったら、名刺がもったいないと思ったのです。若かった。

小説を読んで評価してもらいたい

 本当ですよ。あのとき名刺もらっておけばよかったのです。小説を評価できる人に読んでもらえたら、小説書くためになると思うのですけれど。
 ゴミだと言われてもいいのです。だって、小説に命かけてないのですから。すこしでも改善の方向性とか、方法とか、そんなものを見つける手がかりになればよいのです。
 書いた小説をもっとよくするのにどうしたらいいかわかったら、小説のクオリティがどんどん上がってゆくわけです。もうかります。おカネではなくね。

小説業界

 わたくしのニーズは容易に把握できます。小説を評価できる人に読んで評価してもらいたいというだけですね。わたくしのような人、多いのでは?小説投稿サイトに大勢の人が小説を投稿しているのですからね。書いても誰も読んでくれないという人ばかりでしょう。

ニーズを満たす。

 どうなのでしょうねえ。小説の書き方というエントリーに書きましたけれど、小説を書く人のニーズを満たすことは、小説業界にとって重要なのではないかと思いますけれど。小説を書く人は固定客なのですからね。

 いえ、わかりませんよ?どうやったらニーズを満たせるのか、具体的には。人手が必要ですからね。小説家全員に頼めないでしょうから、編集者が人手としての役割を担いますよね。コストがかかる。小説を評価できないと意味がない。
 出版業界の衰退を受け入れるならいいのですけれど、どうにか生き延びたいと思ったら、ニーズを満たすことからはじめるのがよいと思いますけれど。