瓜生聖「噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか?」 (角川スニーカー文庫) はモブの物語ではない

 他人のふんどし作戦です。本の感想をブログに書くとアクセスが増えるというやつですね。作者や小説の力に頼ります。

 

タイトルがクソ

 はじめからケンカ売ってごめんなさい。カクヨム版のタイトル「目つきの悪い女が眼鏡をかけたら美少女だった件」というタイトルもよいタイトルとは思いませんけれど。

 はい、もとはカクヨムで開催された「サイバーセキュリティ小説コンテスト」の大賞作です。カクヨム版は未読ですけれど、本文を読んだところでタイトルに魅力を感じないのはかわらないでしょう。

 タイトル変更の判断は是としますけれど、その結果が「噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか?」ですからね、あまりよくなっていません。ラノベっぽいタイトルではありますけれど。

 小説内で主人公、自分でモブとゆうとりますが、嘘です。どこの世界にアイドルを目指す巨乳チビ少女やツルペタ・ペンギンパーカ・コンピュータオタク少女と親しいモブがいるというんだ。この世界は間違っておる! と取り乱すくらい、モブではありません。

 タイトルは俺のセリフになっていますからね、主観でモブと言っているだけです。

誰におすすめ?

 ヒロインですね。家庭に問題があり現在ボロボロアパートひとりぐらし、髪色と瞳の色が日本人離れした美少女、バグハントするようなコンピュータセキュリティのスペシャリストで、主人公にめっぽう好意を寄せている、それでいてウブな反応。そういうヒロインが大好きなラノベ読者が一番のストライクでしょう。

 ピンポイント過ぎ? 美少女が好きならおススメです。雑すぎる。

 コンピュータセキュリティに興味があって勉強してますよ、でも息抜きに小説読みたいなという人も楽しめそうです。でも、セキュリティの勉強にはなりませんから、勉強を目的には読まない方がよいでしょう。モチベーションを保つためにならよさそう。

サイバーセキュリティ小説だけど大丈夫

 本書はサイバーセキュリティ小説としても書かれています。サイバー犯罪を防ぐだけでは物語になりません。事件が起きて解決するから物語になるのですね。サイバーは、ここがむづかしい。解決ということは犯人を特定し捕まえるということ、そこまでゆくから面白くなる。

 ここのところが、本書は絶妙です。事件が起きて犯人をあばき、きっちり解決します。敵の姿がわからないと読んでいる方はいまいち腑に落ちない、もやもや状態になりますからね、大事。

 3話構成で第3話は事件というよりは、敵と対決という雰囲気です。目の前の敵の目論見をくじく。うまくいきそう、いやダメだを繰り返してゆき、追い詰められたところで最後の一手を繰り出す。王道です。

 というわけで、サイバーセキュリティ小説、おもしろいの? と疑っている人も、きっと楽しめることでしょう。