2回目あったのね
以前に「九乃カナを解剖する」という記事を書きました。こちら。
https://kyuno-kana.hatenablog.com/entry/2019/01/27/231517
カクヨムをはじめた初期の記事です。一田和樹さんのレビューを目当てにカクヨムをはじめ、自主企画が終わってたまったレビューを分析しようという企画でした。
一田和樹さんのツイキャスの最中、レビュー役に立ちました? と聞かれまして、バッチリ分析して猛烈役に立ちましたとお答えしたのでした。記事を読んでもらいましたよ。
すっかり忘れていましたけれど、それではいかん、長所を見つけ磨きをかけなければ、どこかのモノカキのサイトの受け売り、「熱源」の人の言葉ですね、と思い立って今回の記事に至ると。
データの抽出
もちろんカクヨム頼りです。現在公開中の小説からコメント欄とレビュー欄にある評価を抽出します。毛色のちがう同題異話SRの2作は特殊例外的な小説ですからパスします。
全部で8個ですか。「OPP」は小説ではないから除外。ちょっと多い。
連載中の小説は除外、でも「くず籠」は単品ですから除外から除外して6作。減りませんね。1回で全部やらなくてもよいことにします。とりあえずやってみます。新しい方から。
・「ちょっと気軽に時間旅行なんて」
(コメント欄)
いきなり死、ヘビー、虚無感だけが広がっている、いきなりの殺人事件、世界観の描写が丁寧、恋人の死が読手にも伝わる、タイトル、熱弁男を冷めたように見る態度、虚しさしか無いようにすら思える、主人公が冷静、イッセキの自由なところが可愛らしい、イッセキついて行っちゃう、ご都合主義が過ぎる、魔法のような言葉、ワクワクする展開、可愛がってもらうんだよ(イッセキについて)、ナガルと会うことができると良い、心残りを少しでも晴らしてほしい、2倍必要なんだにゃ〜(イッセキの心の声)、想像が膨らむ、一緒に行くことになるのいい(イッセキ)、色々想像できるラスト、主人公の佇まいや言葉が静か(出来事とのギャップ)、この場面(被害者の会)、ハインラインの猫(イッセキの扱い)、タイムマシン(過去へもどることのポジティブな捉え方)、少しだけかなしい予感や余韻、イッセキ(*^ー゚)b グッジョブ、綺麗に纏まっている、まだまだ広がりを想像させる、主人公は何かを変えようとしてる、考えるのも楽しい、ナガルに会えるのを祈る(主人公)、主人公は満足なのか(結末)、傍に猫がいてほしい(主人公を自分に置き換えて)、奥深い(第2話犯罪被害者の思考)、読みながら色々と考えてしまう、冷静な視点(主人公の言葉について)、主人公の想いが空想の余白に訴えかける(ラストの余韻)
(レビュー欄)
軽快な文体が読みやすい、色々、想像できるラスト、軽やかなタイトル、ずどんとヘビーにはじまる、ラストは読者にゆだねられた、丁寧で静謐な描写、結末まで目が離せない、最後まで読み終えた時、終わりが中途半端、作品のイメージが重い、十人十色のENDに辿り着ける無限の可能性
解剖作業
この小説はわたくしが書いた割には評判がよいように思います。九乃カナの解剖にはうってつけじゃん。
ここでデータをもとに九乃カナを解剖しましょう。おおよそ次のようなことで網羅できますかね。
- タイトルのキャッチーさと、出だしとのギャップ
- 出だしのショック
- 主人公視点の世界の描写
- 主人公の極端なほどの理性的な考え方
- 主人公への感情移入
- ニャンコは正義
- 理屈っぽいかと思うとふんわりタイムマシン、その表現
- 前半と後半の雰囲気が変わる展開
- 短編らしい余韻のある(中途半端)ラスト
- 読者に考えさせる
- 読みやすい文章
解釈
もうメンドクサくなりました。今回は「ちょっと気軽に時間旅行なんて」だけの九乃カナの解剖にします。
九乃カナの短編小説は唐突で大きな展開が持ち味かもしれません。アホっぽさにつながりますけれど。
2の出だしのショックは、毎回やっていたらワンパターンで飽きられますけれど、成功するとよい効果を生みますね。使いどころ。どういう小説ならうまくいくか、研究してゆきたいところ。
3の世界の描写は、狙った効果が出せたという自己評価です。効果を狙った明確な意図のある場合の描写は得意な方かなと思います。Web小説ではコッテリな描写はすくないから特徴とも言えますけれど、描写が敬遠されるからでもあるのですよね。Web小説を書くつもりはないで押し通しますけれど。
4は、今回の主人公だからというところもあります。小説次第ですね。キャラは小説に奉仕する限りにおいて設定されています。推奨されませんけれど。長編のときにはキャラをしっかり作らないといけないのでしょうね。
5主人公に感情移入して読んでくださる方が多かったように思いますけれど、小説ではなく読者の特徴でしょう。KAC でお知り合いを広げようとしてレビューした方たちがおかえしに「ちょっと気軽」を読んでくださったのですね。わたくしにとってよい読者です。お知り合いとして定着してくださるとよいのですけれど。
6は、もうニャンコを出したらそれだけで人気が出ちゃいます。どんどん出していこ。哺乳類を飼ったことありませんけれど。今回は「夏の扉」のおかげです。それも、ちょっとかわったタイムマシンを思いつき、コールドスリープにつなげて、「夏の扉」をオマージュしちゃえと思った、わたくしのおかげですけれど。
ぶっとばして9。短編は余韻が命とは、ヘミングウェイの言葉? でっち上げました。きっと誰かいっています。余韻を感じさせるラスト、意識して行きましょ。
10読者に考えさせることになったのは、第2話があったからでしょうね。あとラストも。主人公のちょっと普通ではない考え方、多くの人には違和感があったかもしれません。わたくし顰蹙は買ってでも買えと肝に銘じていますから、違和感ありありの内容が書けるとうれしいのです。今回ちょっとだけ成功かなと思います。
11読みやすいと感じるのは、九乃カナに毒されているからですね。読みやすい文章ではないはず。言葉が省かれていて文脈がなければ意味が取れないところがあると思うのです。ずーっと読んでくるとつい文脈から理解しておかしな文章も飲み込んでしまうようなことを目論んでいます。
大胆に主語や目的語を省略しています。文が短くなるからテンポがよいとか、スピード感が出て読みやすいまで行ってしまうのかなと解釈しています。ダマされていますよ、九乃カナに。
解剖結果
- タイトルのセンスをもっと磨こう。
- 出だしのインパクトはやっぱり効果大。
- 唐突な展開は読者を選ぶはず。使いどころを考えて控えめに、短編だけにした方がよいかも。
- 描写はどんな効果を狙うか決めて書く。
- キャラの造形は細かにしてゆきたし。
- 読者に考えてもらえるようなネタを心がける。扱い方も気をつける。
- 文章はこの調子でよいかな。やりすぎると読みにくいレベルになってしまいそう。
なんというか、メンドクセエですね。また解剖をおこなうか、考えてしまいます。でも、定期的に実施した方がよいのですよね。客観的に自分を見られます、きっと。
ではまたの機会にお会いしましょう。