無月兄「妖しいクラスメイト」を読みましたから、おすすめします。朝読小説賞受賞作。

カクヨム仲間なんですー

 カクヨム仲間の無月兄さん、お知り合いになる前にカクヨムコン朝読小説賞を受賞していました。

 「妖しいクラスメイト」。

 カクヨムで一足先に読みましたよ。さらに、書籍化されることに。

 リーダビリティ高い。丁寧に書かれた文章で、キャラの感じたこと、考えなんかも絶妙に描写されています。バッチリ感情移入して読み進められますよ。

アマゾンさんから届きました

 書籍化ということで、アマゾンで予約して購入しましたよ。

 無月兄「妖しいクラスメイト ~誰にも言えない二人の秘密~」(カドカワ)。

 理由はわかりませんけれど、発売日から2日だったかな、遅れて届きました。

 カドカワ読書タイムというレーベルです。書店で扱っていないなんてツイートがありましたけれど、わたくし書店に行っていませんから、売っているかどうか知りません。ジュニア向けコーナーがどーんとあるお店だから置いてあるんじゃないかな。

 

 届いた本、ジュニア向けだから新書版かと思っていたのですけれどね、ソフトカバーの単行本でした。立派。

 表紙は爽やか。「妖しい」といっても、おどろおどろしいわけではないから、小説の雰囲気に合っています。

 豆知識。カバーをとっても、同じきれいなカラーのイラストが印刷されています。豪華仕様。

 帯に朝読小説賞受賞という文字が輝いていました。朝読の本を探している人にはアピールしますね、きっと。

 本文文字はゴシックで、ハッキリクッキリ。視力の弱い人にも読みやすそう。バリアフリーですな。ジュニアだからといって視力がまだ大人より発達していないってことはありませんよね、きっと視力の弱いジュニアの人にもってことでしょう。

あらすじあらすじ

 小説のあらすじ。カクヨム版と基本はかわりません。

 妖が見える女の子、五木。妖のせいでいつもひどい目に遭っています。自分にしか見えない妖のこと、誰かに話すこともできません。子供の頃話をしたら嘘つき呼ばわりされてしまいました。

 五木の秘密は妖が見えること。

 もうひとりの朝霧君は人を寄せ付けないオーラを放つクラスメイト。オーラは放っていないかもしれません、人と関わらないようにしています。五木も朝霧君のことをよく知りません。

 五木が例によって? 妖にからまれていると、朝霧君が通りかかり、妖の隙をついて五木が撃退します。妖しいクラスメイトですな。

 朝霧君も秘密を持っています。

 

 ちなみに、最初に五木がからまれる妖。カクヨム版とかわっています。大人の事情なのですかね、一反木綿に似ていたからか。

でも実はこの小説、風という要素が重要だったりします。一反木綿風のカクヨム版の方が息の長い伏線になっていると思います。わたくしの趣味はこちら。

 書籍版に出てくる妖は、秘密という要素を強調したものになっています。秘密は割と早めに出てくる要素ですから、伏線としては効果が薄い。

 サブタイトルがついて、秘密を強調する意味が強まったせいとも考えられますな。早めに秘密要素を出してゆこうという戦略。それはそれで成功しているでしょう。好みの問題ですな。

 わたくし、ケチをつけないと死んでしまう病にかかっているもので、おすすめするつもりで書きながらケチをつけてしまいました。

おすすめポイント

 人には言えない、人とは違う。悩んでしまうことは思春期によくあることです。

 アイデンティティと社会に仲間入りするということについて考えさせられる小説となっています。思春期のジュニアたちにピッタリ。おすすめ。

 朝霧君は人間社会で暮らしていけないくらいの秘密を抱えているのでした。それで人と関わらないようにしていて、話しかけるなオーラとなっていたわけです。

 実際、クライマックスで朝霧君はひとり、人間の世界を離れようとします。追いかけてゆく五木、連れ戻したいと思っています。

 ラスト、朝霧君と対峙した五木はなにを語るのか、ふたりの出した結論は。本作を読んでのお楽しみということで。うまいっ。

 

 わたくしの読み方がこうだったというだけで、人それぞれの読み方や感想があるはずです。こんな風に読む人がいる小説ってどんなかなと思ったら、お手に取ってください。

小説を書く人にとってのポイントは、ここ

 クライマックス、人を説得して考えを変えさせるというシーンを書くことってありますよね。

 注意したいのは、会話だけでキャラの考えがかわったら、読者にとってはアッサリな印象、本当にそう思ってたのかよとまで思わせてしまうかも。ウソくせえとなりそう。

 動きがなくてつまらないとも思われてしまうことでしょう。

 

 どうしたらいいの。はい、なにかイベントが必要です。宇宙人が攻めてくるとか。それはない。

 昔なら、女の子がビシッとビンタを食らわすと男ははっと目が覚めて改心しました。あ、わたくし「空遠く」でやってた。昔人間ですな。

 いまはそんなの通用しません。印象も悪い。茜はもともと印象いいキャラじゃないからセーフ。

 「妖しいクラスメイト」はビンタなんてしません。うまくやっています。きちんと気持ちの動きを書いて準備もして。ビシッと行動とともに説得です。ご都合主義は感じさせません。勉強になりますな。

 

シリーズもあるよ

 「妖しいクラスメイト」、サブタイトルがついてシリーズ化しやすそう。書籍化の予定はないようですけれど、カクヨムで「妖しいアイツが見えなくなるまで」が公開されています。完結済み。

 わたくしはちびちび読んでいる途中「5分で読書」で中断、いまもカクヨムコンで中断、まだ半分も読んでいません。

 朝霧くんのお母さんが登場の、「妖しいクラスメイト」前日譚となっています。まだ半分行っていないのに盛り上がっています。ここで盛り上がって大丈夫なの? 書くことそんなにあるの? と心配になってしまいます。もう完結しているのですけれどね。

 

 無月兄さん、カクヨムコンに今年も参加しています。「モテ男でインキュバスな彼は、魅了の力をなくしたい」です。文章の雰囲気はそのまま、中世ヨーロッパ風の世界で現代劇といった雰囲気の出だしです。まだはじまったばかり。コメディな雰囲気が楽しい小説になりそうですよ。