「笹井さんは気づいてる?」を書いて、カクヨムコンに参戦しました。つけ足し

 「笹井さん」のプロット的メモを公開しながら解説するブログを書いたのですけれど、今回の記事は、みなさん気づいていなかったかなという点を作者みずから解説してしまいます。はずかしいやつ。

僕が殺したのは、誰?

 最初の2話を書いたとき、殺されたとなりの席の女の子には名前がありません。渡辺は彼女と言っています。

 なぜ名前がないかというと、考えるのがメンドクサかったから。殺されちゃって出番なんてないし、名前考えなくていいかと思っていたのですな。それなのにつづきをちびちび書くことになって、名前なかったらおかしいということで三原さんが誕生しました。おめでとう!

犯行は七夕の日

 第3話で笹井さんにアリバイ確認をされるところ、7月7日夜10時ごろなにしてた? ですけれど、この部分を書いているときには笹井さんの誕生日ということにしようと決めていました。実際の犯行は1日ズレていた、犯行は渡辺の妄想という可能性も考えていましたよ。

三原さんの描写

死んだばかりのときは透き通るようでキレイだったのに。彼女は人間を超えた存在だった。壊れそうで愛おしく感じた。守ってやりたいと。殺した人間の傲慢だな。彼女の死体は僕のものだという錯覚にすぎない。自分のものが大切なのは多くの人が感じることだ。

 お葬式のエピソードの第4話に登場する三原さんのご遺体の描写です。ずっと後に出てくるお亡くなりになったときの描写とまったくもって違和感がない。これを書いたころはまだ三原さんをどうやって殺そうか考えていて、思いついていないころです。なんか知らんけれどうまくいく例ですな。たぶん、ここでイイカゲンなことを書いていたのが、あとでヒントになったのでしょう。無駄に細部を書き込むのはよい手みたいです。

 お葬式に一緒に行った女子は伊吉さんで、あとでも登場しますけれど、このときはやっぱり名前を考えてなくて、名前が出てきません。省エネですな。第6話で塾の夏期講習エピソードで再登場したときに名前がつきます。おめでとう。

妹のココノ

 第7話で鹿島に尾行されつつコンビニにアイスを買いに行ったエピソードで、ココノちゃんのために鹿島がアイスをいっぱい買ってくれるというところ。三原さんたちとちがって、ココノは名前が先に登場して本人があとです。話の流れ的にそうなっただけですけれど。

 ちなみにココノは九つのココノです。九乃カナの分身でもありますな。

麻酔はどうした?

 第16話で、公園で笹井さんを助けようとしてボコられた渡辺が病院のベッドで目を覚まします。まだ夜で誰もいない。そんなことってあるのか?

 麻酔をかけて眠っていたなら、麻酔が切れる時間を調整しそうなもの。肋骨が折れていただけで手術したわけではないから、麻酔はしていなかったのですかね。作者も決めていなかったりします。どんまい。

角野さん登場

 同じ16話に看護師の角野さんが登場します。モブで名前をつける必要も感じなかったのですけれど、肝っ玉母さんみたいなイメージが思い浮かんで四角っぽいひとだなってことで角野さんにしました。まさか3回も登場するとはね。小説はわからん。

三原さん編と亜衣さん編

 三原さんの死と渡辺の犯罪を書くことは、長編に仕立てようと思ったら避けて通れないことですな。三原さん編が終わってつづきを書くことになって、時間が現在に戻ります。

 メモにあったのは、探偵倶楽部の話と「夜釣りを再開。笹井さんと遭遇? 林間学校」でした。「運動会」というメモもあったのですけれど、林間学校を取りました。ときは11月7日、第31話です。林間学校には遅いかなとも思いましたけれど、三原さんの事件があってゴタゴタしていたから延期ぎみだったことにしました。

 ついでにですけれど、ちょうど11月7日にこの話を書いていたのです。カクヨム仲間の誕生日だということがわかって、小ネタとして使わせてもらいました。なんでも利用する貪欲さ。

 さらについでということで、林間学校の話は亜衣さんが人殺しってわかるエピソードとして考えていて、途中で崖から落とすことを思いついていました。それで前日に大雨を降らせて地盤を緩めようとなって、屋上のかかし事件をアドリブで書きましたよ。

 結局亜衣さんが活躍? するエピソードが長くなって一区切りといった印象だったもので、ひとつの章にしました。アドリブで登場させた転校生だったのに、準主役級の活躍です。いろいろ活用できたからナイスでした。

亜衣さんの不審な行動

 第39話、崖から落ちて亜衣さんが殺人犯として告白したあと、渡辺が病院のベッドで目を覚ますところです。目を覚ましたとき、亜衣さんが見おろしていた。首を絞められるかと思ったら、亜衣さんはイスに落ち着いた。

 イスから腰を浮かせて、渡辺にかがみこんで、これはキスしとるがな! と思いながら書きましたよ。気づいたひといたかな。読者に気づかせない、奥ゆかしい作者。

表情に出過ぎる渡辺

 いつのころだったか、渡辺は考えや気持ちが表情に出過ぎる人物になっていました。さかのぼって、亜衣さんに殺人犯扱いされる根拠としても使えたし、繰り返し利用しました。なかなか便利でしたよ。書いていくうちにキャラのことを発見することもある、面白いものですな小説って。全部小説のせいにしていますけれど。

謎のミステリー作家、深須輝夫

 亜衣さん編が終わって、つぎは笹井さんを殺すエピソードがメインの笹井さん編がスタートしました。この章をとおして、渡辺を笹井さん好きにドップリ浸からせておいて、笹井さんを殺してもらう趣向です。趣味わるっ。

 で、クリスマスデート。謎のミステリー作家、深須輝夫をデッチあげました。はじめは誰かサイン会開いていないかなと調べてみたのですけれどよいのがなく、強引に笹井さんのドジっ子ネタで着地しました。無理があった? ですよねー。

どうしよう、困った

 渡辺に笹井さんを殺させることは決まったのですけれど、どうやって? 喫茶店デートのときに頸動脈を押さえるという話をしていたのを思い出し、これでいいやとなりました。となるとつぎは、どこでどうやって? となりますな。笹井さんの家か、渡辺の家が自然かなとなり、渡辺の家では死体の処理に困るってことで、笹井さんの家に決まります。消去法。

 どうやって笹井さんの家に渡辺を送り込むか、すこし前を書いているときから宿題となりました。冬だし、風邪をひかせようと思いつきました。都合のよいことに、数日笹井さんが学校を休んでくれます。渡辺は学校を休んだ人を殺した妄想をする、じつは三原さん殺しも妄想だったことにする路線を残しておけます。結果的には笹井さん殺しも三原さん殺しも丁寧に書きすぎて妄想で済ますのは無理ってことになりましたけれど。

いまさらだけど、ここはどこ?

 第58話で朝から雪が降っています。海があるから栃木や群馬や埼玉や岐阜あとどこだっけではないことは明らかです。でも、小説の舞台ってどこ? 作者としては波のおだやかな日本海側と思っていて、雪があまり降らないから東北ではないなとも思っています。さて、どこなのでしょう。わたくしにもわからん!

 東京に電車でデートに行っていますから、新潟あたりかなと思っていて、月の出入りを調べるアプリでは長岡を設定して調べていましたよ。カッコ仮。

 地理は苦手なもので長岡に海があるのか、雪はどうなのか知りませんけれどね。

渡辺と笹井さん

 渡辺と笹井さんの関係。笹井さんを殺そうとするところまではラブな感じにして、そのあとは笹井さんを避けるからラブは冷えている。笹井さんが殺されそうになったことを覚えていないとわかって普通に戻る。

 罪の告白でマイナスとなって、事件が解決して普通に戻る。関係性がめまぐるしく変わるのですけれど、意識して書きましたよ。「君の名は。」のひとは感情をグラフにして確認しながら作っていたそうですけれど、同じようなものです。

三原さんの遺体の処分方法

 三原さんの遺体は雨の日に発見されたことは、はじめのほうの話で決まっていました。はじめ風邪で休みってことにされていたのが、殺されたってわかったところね。

 どうやったら雨が降ったら死体が発見されるかなと考えていました。崖が崩れた? となると崖のちかくに埋めないといけないけど、渡辺には無理だよなあとね。

 なんとなく思いついていたのが、梅雨時だし泥を体に塗ることでオブジェということにして隠蔽というアイデア。泥の彫刻なんてないだろ、無理がありすぎる。ほかによいアイデアが思いつかなかったから仕方ない。

 結局、三原さんの遺体処理は渡辺の妄想の中の話ということになって、簡単に笹井さんに言い負かされてしまうということで落ち着きました。中学生に簡単に否定されるアイデアしか思いつかなくて無念じゃ。

総集編的最終回

 最終回は、よくやるやつですな、第1話と同じはじまり方をしました。カッターを渡辺の背中に突き刺してやりましたよ。病院で縫う必要があったから麻酔をかけました。麻酔が早くきれて? 夜に目が覚めた最初の入院を思い出してネタにしました。

 あと、笹井さんが渡辺のことを認識するようになった事件も突っ込みました。笹井さんという名前は些細なことをきっかけに渡辺を疑いだすことを考えてつけたのですけれど、疑わないことになったからその設定はお蔵入りしました。