信用できないモテ系?小説

「根拠なきモテ系」というレッテルがあるらしいのです。

男性小説家が発明した言葉だといいます。

面白いですね。

その発明した男性にはなにか女性に好かれる理由があるのでしょうか。

ちょっと意地悪ですかね。

「セピア色のポートレート」という小説が、おそらく「根拠なきモテ系」の小説だという批評をされたのだと思います。

賞の下読みの人にですね。

まず、男性はこれを女性に好かれていると読み取るんだなあと感慨深いものがあります。

女性に対して消極的な男性が主人公で、一人称の小説です。

自分に自信がないので、そのような独白が地の文の主体になります。

それをそのまま信じると、モテ要素はなさそうです。

信頼できない語り手というやつですね。

描写されていないだけで、実はイケメンかもしれません。

そんな裏設定はありませんけれど。

で、女性二人が登場します。

ひとりは専門学校時代の後輩です。

付き合ってはいません。

 写真の専門学校を卒業していて、主人公は会社で写真を撮っています。

あまりよい会社ではありません。

後輩は主人公の撮る写真が好きとかいって馴れ馴れしく寄ってきて親しくなりました。

卒業後も一緒に撮影旅行に行ったりしています。

ちゃっかり広告製作会社に就職しています。

写真の専門学校では広告制作会社は花形です。

で、会社の人に告白されて、主人公にそのことを話します。

主人公は、まだ女性を好きになるのがどういうものかわからないというグズです。

ですが、ライバルの出現で気持ちを強くします。

いよいよ、告白かというところで、フラれます。

告白するまえですから、フラれたというかわかりませんけれど。

ひどいですね。

後輩は、主人公を利用していたというのが、作者の解釈です。

主人公の写真の腕を盗もうとしてたんですね。

もう一人の女性の話はいいですね。

やっぱり、利用しようとしただけです。

他の男性と結婚します。

 

むづかしいですね、一人称。

読者に深読みしてもらわないといけないのです。

自分の写真なんてどこがいいかわからないとか主人公がいうのですから。

でも、中学の頃から写真が好きで撮っていて、専門学校の同級生で売れっ子写真家にも学生時代から認められていたのです。

実はすごい写真を撮るのだとわかってもらいたいところです。

国際的な写真コンクールで賞を獲しますし。

ちゃんと小説に書いてありますから、主人公の言葉だけを信用しないでもらいたいものです。

信用できない語り手という手法があるわけですし。

あまり知られていない?